絶対に帰らなければ・・・
ついに、世界が注目する永久機関の手がかりとなる技術を開発した。私は今、この技術の特権を取得するためリムジンに乗り、前後護衛車二台に囲まれて移動中だ。なんせ、世界が喉から手が出るほど欲しい技術だ。
今日は結婚記念日30周年の結婚記念日だ。私の家では高級なレストランに行くわけでもなく、家で妻がご馳走を作って待っている。とても楽しみだ。
(ああ、早く家に帰りたい)
なぜこんな大事な日に私自らが向かっているか。本来なら私の信頼できるパートナーが向かうはずだったのだが、急用が入ったとのことで私が向かうことになった。
普通に行けばそんなに時間のかかることでないので私が行くことにした。
明日は息子の発表会だ。
(ああ、早く家に帰りたい)
今日はいつもの運転手が体調を崩したということで専務専属の運転手が担当してくれてる。とてもニコニコしてて気持ちが良かった。
今日はとてもいい天気だ。
(ああ、早く家に帰りたい)
出発してから一時間、
そういえばこの運転手乗る前まではとても明るい人だったのに出発してからは別人みたいに雰囲気が変わったな。
まあ、プロなのだろう。
(ああ、早く家に帰りたい)
あれ、周りの景色がずいぶんと緑が多く、人通りがなくなってきたな。
そういえば前後の車がいなくなってる。
(ああ、早く家に帰りたい)
それから数分、
あれ、まだ着かないのか?
周りの景色を見てみるとなんか霧がかかってるな。
いや、車内がくもっているのか。
なんだか、眠くなってきた。
(あぁ、は、や、く、いえ、に、かえ、り、たい・・・)