筋肉チェイサー
-TAKEAKI-
そんな一三二郎は生まれたときから親と兄弟からきんにく水を与えられ続け15年経ちました。
本来であればもう筋トレに励み家族できんにく水を分け合う年頃です。
一三二郎は農業はもちろん筋トレもできず一人でいる時間がたくさんありました。
そのためいろいろ「考え事」をしていました。
一三二郎はいろいろ考えました。
初めは、(なんで、ぼくはうまれてきたんだろうか。1きんにくしかもってうまれてないのに。)などと自分の境遇についてよく考えていました。
すると、次第に他の人とは異なる点である「歯」について考えるようになったのです。
(なぜ私は「歯」をもってしてこの世に生まれたのであろうか。私は牛や馬のように人間とは違う生命体筋肉なのだろうか。しかし、家族と話できたり感情を持っていたりする。)
そうして、どんどんと自分の持つ「歯」について興味を持ち、意味を知りたくなりました。
一三二郎は考えました。
(口は栄養を吸う器官であり、生きるためのものだ。そして、その器官に付随しているものであるならば栄養を得るため、生きるためのものなのではないか。)
すると次第に、いまの人の食事の形態や生活について考えるようになりました。
(普通の食事は野菜ときんにく水をミキサーで混ぜて、それを吸う。このまえ、父になぜこのような方法で食事がなされているのかを尋ねたら、「そういうものだから」と言ったきりでそのことに関して何も思うことはないようだった。
私の国の人たちの生活は、朝起きて食事をし、きんにくを癒し、農業をし、筋トレに励み、食事をとり、寝る、の繰り返しだ。私は初め、家族ときんにく水を分け合うことができぬのなら生きる意味がないと思っていた。しかし、今思うと、なぜ、起きて、食事して、動いて、寝る、のだろうかと思う。しかし、それを考えても先がないことはわかっている。いまは初めになぜか思った「家族と分け合う関係」つまり、「同等な関係」にならねばと思う。)
すると、次第に一人でも生活できなくてはならないと考えました。しかし、どう考えても自分の体では「普通」の生活はできません。なので、一三二郎は、
(自分は自分の生き方を見つける必要があるのだ。)
と、考えるようになりました。
そうなったらまた、「歯」についてよく考えるようになりました。
一三二郎は、
(自分は「歯」をもってして生きていくのだろう。)
と、この頃には潜在意識的に感じていました。